さて、前回に引き続き…の話題です。各学校や塾、予備校が出す合格実績について、関西でしか経験がないという限定はつきますが、大学受験の指導に触れたことがある者としての一意見としてお読みいただければと思います。
#業界関係者には耳の痛い話
合格実績を注意深く見るとするなら…
●【大学入試編】現役と浪人の割合が公表されているか、それから国公立を見る場合、旧帝一工(現東京科学大)神(以下難関国公立大学)と地方国立大の理系学部が卒業生の人数に対してどれくらいの割合か。これは最も大きなポイントだと思います。
その理由はその学校に高1から大学受験に向かって本気で走る仲間の割合と比例するからです。
#センスのある子を含んで
私立大学の入学者の入学選抜方式は今の時代、指定校推薦や総合選抜など多種多様になっており、合格実績が純粋にその学校の学力(一般入試を指します)を示すものとは言い難いのです。
難関国公立大学と地方国立大の理系学部は高3になってから「ちょっと本気出すわ」で合格できるところが少ないため、もっと早い段階から意識的に勉強しているはずです。とするとそういった仲間や学校の空気があるはずで、これはかなりプラスだと言えます。
私立の大学は早慶や上智、MARCH、関西だと同志社かな、など一般入試ではかなりハイレベルな大学もありますが、合格実績の合格人数だけをみて、上記の大学の「一般入試」で合格をつかめる学力を持った生徒さんがそれだけいるとは見えません。
#全高校、入試選抜方法も全部公表してくれたら公平なのに
要するに難関国公立大学への現役合格実績はその学校の勉強への空気感が高1からどういったものかを示す指標と言えます。
私立の一定程度以下の大学が最も多くの合格割合を占める高校は勉強という意味では高1はパリピ孔明もとい、パリピ状態でゆる~~い感じで、気が付いたら高3生。ムリゲーに気づき、「ま。この辺りでいっか」精神で大学を選択する場合が多いことは現実として書いておきます。
そういった私立大学の合格者が最も多い高校は、そもそもの学力が高くない高校が多く、さらに高校入試時点でその状態なのだから、3年後に多くの勉強してきた人たちと戦う意識も、空気も、そのマインドもそもそも備わっていない子が多いんです。
●【高校入試編】これは最も無法地帯といえます。合格人数や合格率などの割合。もはや正義はどこへ…です。
そもそも高校入試は公立中学校に在籍している生徒たちが中心なので、内申点という本人の学力とは別の因子が占める割合が大きくなりがちです。また高校入試の合格実績というのは基本的に塾の合格実績です。どこぞの中学校が高校の合格実績を公表することはまぁありません。で、合格実績ですが、その数字はその塾の実力を表しにくいという性質があります。
例えば
定員200人のA高校があったとして1000人受験して150人合格したとして「150名合格!」と出せますが、それは多くの屍の上に立つ数字で…、また3人受験して3名合格を「100%合格」と出せますが、それは確実に合格する生徒だけを受けさせる方向でいけばいい話で…。
お分かりいただけるかと思いますが、無法地帯とはこういう意味です。
あえて言うなら受験者の総数と合格の人数を出す。これならば「合格させる力」をある程度示せるので個人的には良いと思います。また複数校舎を展開している塾などはその校舎数も見逃せません。校舎数が多い×合格人数だけ=想像にお任せします(笑)
#この2つ公表している塾ってある?
#正直に発表してくれれば。
#講習生を受かったら母数に入れ、不合格なら母数から外すとかはナシだろう常識的に。
よって、公立中学生の塾選びは基本的に合格実績ベースでは判断しないことが賢明といえます。個人塾でも素晴らしい指導をしている塾さんが最も多いのがこの高校受験だと思います。口コミが最も有効になるのが高校受験といえそうです。
●【中学受験】中学入試の合格実績も基本は塾から出されるものだけです。小学校は合格実績なんて出しませんからね…。この合格実績は大学入試と高校入試を合わせたようなもので、重複カウント(一人でいくつもの中学に合格してそれらすべてをカウント含む)、受験母数隠しなどなど…しかし一方で高校受験よりは数字に信ぴょう性があるとも言えます。
とかく中学受験の「超」がつく難関校は小学生時点でそれなりにセンスがあること+塾側の受験問題に対する分析やフィードバックが的確でないと合格しないことが多いです。どちらかが欠けると、本来なら合格を得られた子が残念な結果に終わるという憂き目にあってしまう可能性があります。
#高校受験はこの塾側の分析が薄くてもなんとかなることが多い
他方、「超」がつく以外の学校の合格実績はおおよそでいいのでその中学の毎年の受験者の総数を過去の資料をみて確認すると良いと思います。どうも中学受験業界は人数がベースになってますが、基本募集人数(合格者総数)が多ければ合格者数も増えるのは当たり前ですから。
#マンモス学校のスケールメリット
中学受験は最も屍の上に立ち成り立っています。6年生まで中学受験に全く向かない子を走らせ続けた結果、公立中学という選択肢はなく、どこかの私立中学にはとりあえず入れようという流されるままに私立中学を受けると、どこかに受かります。そこに入って、どれだけの子が捲土重来を期して勉強し始めるのでしょう。ただただ苦しかった中学受験から解放され、MAX遊び始める。受験も終わったし少しくらいは…と父母も緩くなる…中学生活が始まったが待てど暮らせど勉強を始める様子はない…
#良い環境とは?
地元の中学が悪すぎて避けたい、大学までついているエスカレーターのところに入れたい、など学力以外の要素を重要視される中学受験はいいですが、それ以外で子ども自身のメンタルが未熟ないわゆる本人に合わない中学受験は学力という意味では中1時点で終了を迎える子がなんと多いことか。
中学受験は合格実績の見方以前にお子様に合う、合わないという点が他の受験に比して最も高いと言えます。
ゆる~い締めになりますが、
過度に期待しないこと、強制型で勉強させないこと
これらを意識したうえで合格実績を眺めてみるといいかもしれません。
本日はここまで。お読みいただきありがとうございました。